44歳、女。転機は小学生の頃の学芸会。

44歳の会社員、女性です。
新しい経験をしたのは11歳の時、だいぶ昔の話になりますが、それ以降、今日にいたるまで、この経験によって間違いなく今の自分がある、という人生を送っています。
それは、小学校の学習発表会、いわゆる学芸会でのことです。その頃の担任の先生が少し変わった、一筋縄ではいかない人で、クラスの多くが「劇をやりたい」と言っていたにも関わらず「ならば、『表現読み』にしよう」と言い出しました。今ならばそれが「ドラマリーディング」の部類になるものだとわかるのですが、小学生の頃には「表現読み」という新しい分野にワクワクしたことを覚えています。
その時にやったのはこうです。教科書掲載のある物語を、段落や文章、鍵括弧などで小分けにし、クラス一人一人にパート分けします。それを暗記し、普段の本読みよりも芝居がかった感じになるように抑揚をつけて、一人一人物語を繋いでいくのです。そうする事で全員参加となり、また、人前に出る事が苦手な人も、暗記が苦手な人も、負担なく参加できるし、見せ場にも大きな差が生じません。みんなが主役となるのです。
また、得意な子は苦手な子にコツを教えるなど、クラスが一気にグッとまとまった雰囲気になったことを覚えています。
みんなで協力し合いながら、一つの作品を創り上げ、それを観た人たちが(この場合は学習会を観に来ている親なので当然なのですが)喜んでくれる。この時の快感が忘れられず、また、どのような抑揚をつけて暗唱すればどのような気持ちとして相手に伝わるかを一生懸命子供ながらに考えながら経験した「表現読み」の面白さが忘れられず、私はその後、大学入学と同時に地元の劇団に入団し、芝居の世界に足を踏み入れる事になりました。
芝居を最優先にした学生生活を送った結果、そして、芝居を最優先に考えた就職活動をした結果、4年制の国立大学卒業後にフリーターとなる、という事にはなってしまったのですが…。
それでも、職を何度か変えながらも、芝居を辞めることもなく、なんとか会社員に収まることも出来、今、非常に充実した生活を送っています。あの時、「表現読み」という出し物でなければ、芝居の世界を目指すこともなかったでしょう。そして、芝居を中心に置く生活もしていなかったでしょう。ただ、それが今の幸せに繋がっているので、あの時の担任の先生には今でも感謝しています。